らむね的通販生活: 2014年05月

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2014年05月07日

「アナと雪の女王」に、ありったけの愛を叫ぶ

ここからはミュージカルファンの偏見に満ちた文章が続くので、その辺りご了解ください。

■「アナと雪の女王」は、アニメ映画ではなくミュージカルアニメです

「アナと雪の女王」はミュージカル映画です。ミュージカルアニメという分野は、「美女と野獣」や「ライオンキング」でディズニーが成功を収めている分野で、どちらも舞台化され世界中でロングランを記録しています。今回の「アナと雪の女王」もほぼほとんどの台詞が歌となっていますね。だから、声の担当は、歌える声優ではなく、ミュージカル俳優とミュージカル女優が中心に選ばれています。オリジナル版でも、日本でも。

オリジナル版のアナはクリスティン・ベル。初耳ですが、ヴェロニカ・マーズの主演をつとめたテレビ女優で33歳(お子さんもいます)。「雪だるま作ろう」のあのリトルアナの可愛い声も彼女のもの(日本版は3人で歌い継いでいます)。高校時代はミュージカルの経験もあり、今回の抜群の歌唱力でこれからキャリアがぐっと広がるでしょう。そして、「Let it go」を朗々と歌い上げるイディナ・メンゼル。彼女のことは、後述します。ミュージカルと言う銀河系の現在の大きな大きな太陽の一人です。

そして日本のキャスト。実はわたしは松たか子バージョンと神田沙也加バージョン、youtubeでしか聞いていないのですが、まあ、すばらしいですね。二人とも奇しくも二世タレントというか、芸能の誉れ高い家に生まれて、とんでもないシンガーの実力を持ちながら、松たか子はそれ以外の才能の影に歌の才能にあまり注目されず、神田沙也加に至ってはあまりに若々しいお母さんの陰に隠れ、そのとんでもない歌唱力が知られず、ちょっと損をしていた、そんな二人。絶対に大ヒット間違いなしのこの映画の、日本語バージョンに彼女たちを抜擢したキャスティングには、なんだかものすごい愛が感じられて、わたしなんてそれだけで涙ぐんじゃうんです。

松たか子、希代の舞台女優のはずなのに、あまりの毛並みの良さと、そのまっすぐな上品さという持ち味から、ミュージカルでは逆に損をしている。だからか、ミュージカルでは汚れ役好きで、「モーツアルト!」の悪妻のコンスタンスとか、お父さんとの共演の「ラ・マンチャの男」のアルドンサとか。うまいし華があるしすごいんだけど、なんだろう、もう一歩、「松たか子の○○○見たか?」的な作品にまだ出会っていないような気がする。本当はね、「エリザベート」をやってもらいたい。演技力、美貌、歌唱力。すべてそろっていて、多少狂気も入っている。うってつけだと思うんだけど。そんな松たか子が、エルサに選ばれた。ブラボー!

神田沙也加、せっかくタイトルロールなのに、ここでも多少の不運を背負い、もっともヒットしている歌は、エルサ役の松たか子のもの。彼女、本当に歌唱力抜群で顔も可愛いんだけど、小柄で損をしていて、ジャニーズミュージカルのマドンナみたいな、そういう役に甘んじてきた。彼女のうまさが活かせる役がなー。劇団四季とかにどんどん客演して、若い女性がやる役をもっとやってほしいなぁ(「オペラ座の怪人」のクリスティーヌとか、「マンマ・ミーア」のソフィとか)。

エルサ役に関してはもう松たか子以外の選択肢が考えられみたいな感じで流れてきていますが、正直、濱田めぐみで聞きたかったと書く勇気が自分にあって今、ほっとしています。「Wicked(ウィキッド)」日本初演のエルファバ(CDも担当)ですから、和製イディナ・メンゼルと、言えないこともないわけで。


■「Frozen」エルサ役、イディナ・メンゼルへの愛を心から叫ぶ

はい。
というわけで、オリジナルキャスト行きますぜ。gleeファンで、ミュージカルファンなら、もう、ミュージカルにとってのイディナ・メンゼルは角川映画の薬師丸ひろ子みたいな存在です。たとえが下手すぎてどう挽回したらいいのかわかりません。わたしが一番最初に見たはずのイディナ・メンゼルは「RENT」の、モーリーン役。タンゴモーリーンのあのモーリーンです!バイセクシャルのモーリーンに心を寄せるマークと、レズで恋人のジョアンナの、踊るタンゴ。このときにツンツンしているモーリーンは、若かりしイディナです。奇麗!!

そのあと、イディナと私の出会いは、「glee」の主役レイチェルのお母さん役。レディガガの「ポーカーフェイス」をレイチェルとデュエットする、超濃い顔美人。誰これ?すっごいレイチェルに似ているんですけど、実のお母さん?と調べると、なななんと、我らが「Wicked(ウィキッド)」のエルファバのオリジナルキャストであることが判明!!!!

ディズニーでは映画の舞台化を継続的にやっています。一番ヒットしているのは「ライオンキング」でしょう。その他にも、「美女と野獣」「リトル・マーメイド」最新の「アラジン」が、映画からの舞台化。映画をもとにしない舞台では「アイーダ」「Wicked(ウィキッド)」。ウィキッドは、舞台が公開されてから「女の子のための女の子によるミュージカル」つまり「ガールズミュージカル」としてティーンの女の子たちの心をわしづかみしました。

ボーイミーツガール的な要素がないわけではないのだけど、それよりも何よりも主題は、緑の顔のエルファバと、可愛い女子力の高いグリンダの、友情と成長が主題になっています。もはや、ミュージカルに王子様はいらない!と言わんばかり。エルファバが1幕の最後に歌い上げる「Defying Gravity (自由を求めて)」は、緑色の顔をして生まれたエルファバが、「たとえすべてを失ったとしても信じた道を進むのよ。誰にも止められない。自由を取り戻すの、恐れはしないわ」と宙づりされながら歌い上げます!ブラボー!イエーイ!!

アナと雪の女王の、「王子様いらず」「女同士の信頼関係」「恋愛は人生の一要素にすぎず、何よりも大切なのは自分らしく生きること」という数々の要素は、まさしく「ウィキッド」のものなのです。ある種「ウィキッド」の映画化とも言える、「アナと雪の女王」だからこそ、エルサはイディナ・メンゼルじゃなければいけなかったのです(「アナと雪の女王」は別途ミュージカル化されると思います)。

どうでもいい話としては、アメリカのミュージカルファンは泣いて喜んだんでしょう、gleeのシュー先生の元カノ役(元カノではないというご指摘をいただきました。憧れの先輩役だそうです。感謝して訂正いたしますm(_ _)m)で登場するエイプリルが、ウィキッドのオリジナルグリンダであるクリスティン・チェノウェス!!gleeにはミュージカルファンにはにやけてしまうキャスティングや挿入歌の遊びがたくさんあるんだけど、ウィキッドに対するリスペクトは相当なもので、Defying Gravityは第一シーズンのとっても大事なところでレイチェルとカートが歌うし、第2シーズンのラストのニューヨークではなんとブロードウェイのウィキッドの舞台にレイチェルとカートが立ってFor goodを歌うのです。ライアン・マーフィー(gleeのプロデューサー)は、よっぽどウィキッドが大好きなんだと思う。

イディナ・メンゼルを配役したところで、この「Frozen」のミュージカルとしての本気度がわかります。WOWOWのアカデミー賞中継で楽曲賞候補としてイディナが生で歌う前、町山智浩さんが盛んに「この楽曲はスタジオで歌うのには適しているけど生で歌うには大丈夫かな?」と言っていて、私の失笑を買ってました。「あのさ、Defying Gravityを生で何十回以上歌ったイディナに何言ってんの?」。でも結局オーケストラと合わないというトラブルがあり、町山先生が正しかった訳です。すみません、ここに謹んでお詫び申し上げます。

クリストフ役はジョナサン・グロフ。「glee」のボーカルアドレナリンのジェシーです。レイチェルにトマトをぶつけたあのヤな奴ですよ。娘はジェシーが大好きなんだけどわたし大嫌い。でもクリストフは好きだし、いい声でしたね。ウィキッド好きのライアン・マーフィーがグリーでウィキッドにちなんだキャスティングをし、それに呼応するかのように「Frozen」でグリーのスタッフをキャスティングする。なんかいいですね(*^^*)。


■ミュージカル俳優という分野の知名度の低さ

歌える声優さんが本当にミュージカルに進出して大成功をおさめるケースも出てきている。平野綾の帝国劇場の東宝ミュージカル「レディベス」はすごいらしい。これからはエンターテインメントの人たちも、声の仕事、舞台の仕事、映像の仕事と、クロスオーバーして活躍する人がどんどん出てくるだろうな。

ミュージカル俳優というのは、歌う力はもちろん、演技と歌の両立、そして踊る力も必要。かつ1カ月から2カ月に及ぶ長い公演(一般にミュージカルはもろもろの制作費がかかるので、回収するために公演期間が長く全国縦断しちゃったりするので、演者の拘束時間が長い)を切り抜ける体力とのどの力が必要。いわばアスリートでもあるのだ。踊るんだよ!60歳とかでも容赦なく踊らされる。それも毎日。

そんなミュージカル俳優としての才能は、なかなかミュージカルファンにしか知られない。最高峰の人気を誇る井上芳雄くんでさえ、世間の認知率はたぶんとっても低いだろう。彼は、劇団四季を経ずしてミュージカル界のスターになった、珍しい存在だ。ミュージカルは男なら劇団四季かテニミューつまり「テニスの王子様」ミュージカルの出身者。女は宝塚と劇団四季。この出身者がタイトルロールを席巻し、それ以外にはなかなかスターが育ちにくい。なぜなら、ミュージカルはお金がかかる=大きなハコでやる=主演は大きなハコを埋められる人=すでにファンをもつ人=劇団四季や宝塚やテニミューで一定の人気をもってそのお客さんを持ってこられる人というキャスティングになりやすいために、若手が主役を得にくい状態なのだ。だから、息子役とか娘役でひたすら実績を積み上げる。もしくは、ジャニーズの舞台で女性の役を務めるのだ。

おおっと。何が言いたいか。そんなミュージカル俳優としての、松たか子と神田沙也加に焦点をあててくれてありがとうということを心から言いたいのです。この映画の大人気で、歌える松たか子と歌える神田沙也加という才能に、一人でも多くの人が気づいてくれて、そして、日本のミュージカル界が若い才能にとっても稼げるようになれば、いいなぁと心から心から思うのです。

ミュージカルは高い。ブロードウェイのウィキッドを見るのに一人250ドル払った。泣きながら。映画は家族で気軽にいけるしDVDもそれほど高くない。ミュージカルは日本でも2時間から3時間にたいして1万円前後はかかるので、映画の5倍からいい席だと10倍くらいかかる贅沢な趣味なのだ。勢い、お金があって暇がある中年以上の女性たちが、観客の多くをしめる。もっと若い人にミュージカルの楽しさを知ってもらいたい。劇団四季が子供にも見やすいような価格設定でずいぶん努力しています。こういう努力、本当にうれしいな。アナ雪も、ミュージカルになるでしょう。ディズニーとの関係の強さから劇団四季で上演される公算が大きい。映画館で歌う(シングアロングと言います)楽しさを知った人たちが、劇場でも「あるがままで」を合唱する日が遠くないといいな。

時代はLet it beからLet it goに。王子様は十分条件で必須条件でなくなった、プリンセスムービーに拍手!

でもたまには、恋愛も描いてほしいな。恋愛が脇役すぎるよ、最近の映画やテレビドラマ。インド映画にしか、もう恋愛は描けないのか、な?

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