現在、「ゲゲゲの女房」が佳境に入っている。今週は、ラバウルでの戦友が水木しげる(向井理)のところに訪ねてくるというエピソード集で、妻にも話さずにいた戦争中の出来事が、語られる。ドラマでも片腕になった経緯について、さらりと触れられるのだが、気になって本屋で「水木しげるのラバウル戦記」という文庫を買ってきた。水木しげるは実体験に基づいた戦記ものをたくさん出しているけれど、たぶんこれが彼自身の体験そのものにもっとも近いものではないだろうか。鳥取から船に乗ってラバウルまで、終戦を迎えて、日本に帰るところまで、昭和18年の11月ごろから昭和20年の11月ごろまでが描かれている。帰還後、わら半紙に書いたというラバウル戦記から、戦後ずいぶんたって書いた「娘に語るお父さんの戦記」まで、掲載される絵の作成時期やタッチなどはばらけているが、語りの口調は一貫している。

全体を通じての印象は、はからずも、突き抜けた楽観。戦争や日本軍に対して、いい意味で当事者意識が欠如していて、だからこそ自分自身の今を楽しむ感覚が理性とバランスを失っていない。
もちろん壮絶なシーンもある。けれど、この突き抜けた明るさが、読後感を爽快にするのとともに、また別の意味で重く考えさせられる。作者の持つような、殴られ続けても空気を読まずにいられる強さこそが、彼をして帰還を果たさしめた。その強さを、いまどうやって自分の中に育て、かつ維持できるだろう。
「わしは生きている人間にはまったく同情はせんとです」と、ドラマの中盤(5月ごろ?)で言った言葉。この言葉がより深く理解できる、本だった。
中学生くらいであれば、たぶん読み流しで理解可能だと思います。土人という言葉が頻繁に出てきますが、尊敬語として使っているという作者の言葉どおり、明らかに日本人よりも上位の概念として出てくるので、神経質になることはないかと思います。
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